JOURNAL

DATE : 2019.11.30

「退かざる敗退者」フィールドから退かざるモノMISTRAL

冬の長雨が関東地方を寒さに包んでいた。決戦の地、名古屋の空は雲一つない冬空に恵まれていた。

 

11/23(土)と11/24(日)の二日間に渡って開催された全日本クラブ選手権準決勝。

駒沢オリンピック公園第一球技場でFUSION vs NLC SCHERZOの試合が行われ、4Qを終え8-8。サドンビクトリー方式でFUSIONが決勝へのチケットを手に入れた。雨と寒さが厳しく、フィールドに水が浮く厳しいコンディションの中で、双方が力を出し合い全力をぶつけ合った結果だった。

日曜日の試合は名古屋会場(テラスポ鶴舞)にてNeO vs MISTRALの試合が開催され、想像を超える熱戦が繰り広げられた。結果として、前年度王者のNeOがサドンビクトリーの末、決勝進出を決めた。試合後、NeOの選手・スタッフ・観客の皆が歓喜の輪に包まれていた。

 

『日本一』を目標にシーズンの歩みを進めてきたMISTRALのシーズンはここで終わった。終わってみれば、東日本クラブリーグ3位、全日本クラブ選手権準決勝敗退。前年を思えば・・・それ以上の言葉は必要ないだろう。

 

敗退したMISTRAL

 

東日本クラブリーグ3位という結果

6月にスタートした東日本クラブリーグ選手権。初戦のORCADEA戦では16 – 0という圧巻の試合内容をみせ、シーズンへの明るさを感じさせるスタートとなった。続く、Sibylla戦でも16 – 6と失点が目につくも圧勝劇を演じてみせた。

好調を維持して迎えた第三戦。ライバルFUSION戦でも自慢のアタック陣が、苦汁を舐めさせ続けられてた相手に怒涛の攻撃を仕掛け、3Qまで圧倒的な差を見せつけていた。3Qを終了し、想像もしていなかった試合展開に会場は異様な盛り上がりをみせていた。その”異様さ”は4Qでフィールドにも伝わった。FUSIONの反撃に飲み込まれるように連続失点を重ね、終わってみれば9 – 9とライバル同士の戦いという名にふさわしい結果となった。この試合を振り返れば、歴戦を重ねた強者揃いのFUSIONを称えるのが相応しいだろう。

 

激戦の疲労、ウチに秘めた悔しさ、を抱えながらも気丈に振舞うMISTRALの選手達が俯(うつむ)いてた私達の顔を上げさせてくれた。これは、メンタルコントロールなのか、話題のノーサイドの精神なのかは分からないが、観ている者たちに『ラクロスの素晴らしさ』を伝えただろう。

 

続く、NeO戦はキャプテン松本選手を欠く中での試合となった。序盤から相手の勢いと圧力に押し込まれた。後半の反撃も及ばず、終わってみれば5 – 11でNeOの圧勝だった。しかし、試合終了後の会場前では両チームの選手が笑顔に包まれていた。そんな中、会場脇で荷物の整理をしている藤本MGに声をかけると、「負けちゃいました。これが今の実力で、その通りになったって感じですかね。」と悔しさを滲ませながらも、どこか自分達を見失ってはいないように感じられた。

 

リーグ戦最終戦のMsprits戦は18 – 1と会心の勝利となり、東日本クラブリーグプレーオフへと駒を進めた。

ここからいよいよラクロスシーズンのクライマックスを迎えることとなった。

 

手の届かなかった東日本クラブリーグプレーオフ決勝進出

プレーオフ一回戦のSibylla戦は豪雨というコンディションの中で11 – 5という勝利を収めた。

そして、再戦となったライバルFUSIONとの二回戦は予想だにしない試合結果となった。序盤からリードを奪い勝利目前にまで迫りドロー決着となった、リーグ戦とは違うチームの試合を観ているようだった。FUSIONは#10高橋選手と#17水戸選手を中心とた素早い攻撃と、ライバルを研究し尽くしたであろう戦術が見事にハマっていた。窮屈にプレーするMISTRALの選手の姿を見ていれば、それは観戦している我々にもわかるほどだった。結果は4 – 12と実力差以上の点差をつけられての敗戦となった。

そしてそれは、東日本クラブリーグ優勝の夢が終わった瞬間でもあった。

 

日本一をかけた最後の戦いのスタート

MISTRALにとってある意味、劇的な幕切れとなった東日本クラブリーグはNeOの優勝という形で幕を閉じていた。ここから本当の日本一をかけた戦いが始まった。

東日本クラブリーグから少し時間が空いて開催した全日本クラブ選手権。一回戦の始まる頃には、気候がすっかり冬に変わっていた。東日本クラブリーグ敗戦から数日が経ち、MISTRALは合宿を行うなど、いつも以上に熱量が高かった。その姿に『日本一』への本気を感じた。

東海地区代表のSELFISHとの名古屋で開催された一回戦は、13 – 4と快勝をおさめた。

そして、今シーズンの運命を占うと言ってもいい、全日本クラブ選手権準決勝NeO戦を迎えた。両者とも変わらぬ姿で試合前のウォーミングアップを行い、そしていつもと変わらない流れで試合前の整列とメンバー紹介を終え、試合が開始された。

しかし、”いつも通り”だったのは試合前までだった。MISTRALは小気味良いテンポでパスを回し、相手チームをゴール前に釘付けにし、ボールを支配しながらアタックチャンスを狙っていた。NeOにとっては焦ったい時間が続くことで、たまらずファールでMISTRALの攻撃を止めるなど、らしくないミスを犯していた。しかし、そう簡単に攻略できるほど甘い相手ではない。

1Qも終盤に差し掛かり、均衡を破ったのはNeOだった。王者は劣勢に立っていても、焦らず素早い攻撃からMISTRALのDFを翻弄し得点をしてしまう。

しかし、すぐさまMISTRALも反撃に出る。ゴール前でのボールキープからアタックを仕掛け1 – 1の同点に。

2QはMISTRALの時間となった。相手陣地深くでのボールキープからアタックを重ね、2Qを2 – 0で圧倒。前半を3 – 1で終えた。

 

両者タイムブレイクを終えて迎えた3Q。NeOの時間となる。MISTRAL陣地深くでボールをキープし、#10関口選手のステップワークと#12高野選手の細部に光るテクニックでMISTRALのDF陣を翻弄。MISTRALに攻撃の隙を与えることなく、3Qは0 – 2で、NeOが合計スコア3 – 3の同点に追いついた。

そして、最後の15分がスタート。

両者が見せる一進一退のギリギリの攻防に、いつもなら大きな声援が聞こえるはずスタンドも、固唾を飲んで戦況を見つめていた。1プレー1プレーに「おぉ」「うぅ」といった思わず溢れ出てしまうような、小さな歓声が響くという状況にいつもとは違った興奮を覚えた。互いに残り時間を気にかけながら、”この攻撃でどちらが点を取るかで試合が決まる”と感じさせる攻防を繰り返し、試合展開も速さを増した。それに同調して試合のボルテージも高まっていく。

気づけば残り30秒というシチュエーション。最後のチャンスを手にしたのはMISTRALだった。

相手ゴール前でのボール争奪戦のもつれから、ゴール前でフリーシュートを獲得。残り5秒でのラストショットだった。惜しくもゴールを捉えることができず3 – 3で4Qが終了。

 

そして、運命はサドンビクトリーに託された。

サドンデス開始早々、チャンスを掴んだのはMISTRALだった。相手のミスをついてボールを奪い、素早い攻撃でゴール前へ迫りシュート。

 

観戦する誰もが緊張状態に耐えきれずに”決着”を待ち望んでいた。しかし、無情にもMISTRALのシュートはゴールをとらえることはなかった。

 

逆にボールを奪い攻撃を仕掛けたNeOがそのまま得点。試合は終了した。

 

不思議な高揚感と拍手に包まれる

試合終了のホイッスルが鳴り響いたフィールドの上に、死力を尽くしたMISTRALの選手達は倒れ込んだ。倒れ込んだ選手をすぐさま起こす#8鴨谷選手の姿と、顔を覆い涙を見せようとしない選手達。それを眺める観客はただただ拍手をすることしかできなかった。ただ、それは最高の瞬間だった。

通例となっている、観客席への挨拶はいつもより感慨深いものとなった。

いつだって前を向き気丈に振る舞っている選手達の声は震え、お辞儀をした後になかなか顔が上がらなかった。

 

シーズンを終えるMISTRAには労いを、NeOには健闘を称えたい。

 

 

 

試合には負けてしまった。

しかし、全力で闘った、その勇気や努力、想いや絆は間違いなく、選手、観客、フィールドに刻まれた。それらは今なお生きている。それこそが退かざる敗退者なのだ。

そして彼女達は来シーズンの日本一を目指して新たな歩みを始めた。

 

『ラクロスは最高だ。』

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